passthrough
(パススルー)とは、コンピュータサイエンスやソフトウェア設計の文脈で使われる用語で、データやリクエストをそのまま(ほぼ変形せずに)次の段階に渡すプロセスや仕組みを指します。具体的な意味は、使用されるコンテキストによって若干異なりますが、以下のようなケースで使用されることが一般的です。
目次
1. ネットワークやAPIにおけるpassthrough
- 意味: クライアントからのリクエストやデータを、バックエンドや他のサービスに変更せずそのまま渡すこと。
- 例: APIゲートウェイが受け取ったリクエストを認証や変換を行わず、そのまま別のサーバーに転送する。
- 使用例: GraphQLやREST APIのプロキシ。
- メリット: フレキシブルな設計が可能で、複雑な処理を減らせる。
具体例 (FastAPIの場合)
from fastapi import FastAPI, Request
import httpx
app = FastAPI()
@app.post("/passthrough")
async def passthrough(request: Request):
async with httpx.AsyncClient() as client:
response = await client.post("https://example.com/api", content=await request.body())
return response.json()
- この例:
/passthrough
エンドポイントで受け取ったリクエストを外部APIにそのまま転送します。
2. 仮想化やコンテナ技術におけるpassthrough
- 意味: ホスト環境で管理されているリソース(例: GPUやUSBデバイス)を、仮想マシンやコンテナに直接接続し、ホストを介さずに利用できるようにすること。
- 例:
- GPUパススルー: 仮想マシンにホストのGPUを直接割り当てる。
- USBパススルー: 仮想マシンがUSBデバイスを直接利用できるようにする。
3. ソフトウェアやフレームワークでのpassthrough
- 意味: 処理せずにデータをそのまま次に渡すこと。
- ログのパススルー: ログデータをフォーマットせずにそのまま送信する。
- ビデオのパススルー: 解像度やコーデックを変換せず、オリジナルのままデータを処理する。
4. 音響やビデオ機器でのpassthrough
- 意味: オーディオやビデオ信号を処理せず、そのまま次の機器に送ること。
- 例: テレビがHDMIで受け取った音声データを、そのままサウンドバーやAVアンプに出力する。
メリットとデメリット
メリット
- 処理コスト削減: 余分な変換や計算が不要。
- シンプルな設計: システム全体のロジックを簡素化。
- フレキシビリティ: 中間処理を行わず、そのままのデータを利用したい場合に適している。
デメリット
- エラーの伝搬: データがそのまま渡されるため、問題のあるデータが次のシステムに渡る可能性がある。
- 機能不足: 変換やフィルタリングが必要な場合には対応できない。
passthrough
は、**「中間処理を加えずにそのまま渡す」**という考え方が基本です。どの文脈で使われるかによって具体的な実装や役割が異なるため、使い方を選ぶ際には要件を明確にすることが重要です。